内モンゴルの旅
連載２ 森 静子 自然を楽しむ会
とうとう私は来たのだ
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１５年ほど前中国に行ったとき、さすがに中国は広いと感じながらも、私が思い描いていた広大な大地を見ることは出来ず、ちょつと期待はずれだった。ずうっと昔、パールバックの『大地』を読んで以来、無限に続く広大な平野、はるか彼方にかすむ地平線に憧れていたのだ。いつかそれを見たいと思い続けていたので、今回のモンゴル大草原への旅の企画を知り絶対に行こうと思った。果てしなく続く緑の大草原の彼方の地平線が見たい。
また、そのころ、シルクロード探検隊の人の、空に星があるというより、星の間から空が見えるというような感覚だつた、と言う話を聞いて、モンゴルの星空はどうだろうと期待はますます膨らんだ。
果たして、モンゴルでは、憧れていた地平線をこの目でしっかりと見ることが出来た。それも、３６０度どちらを見ても遮る物のない大草原、バスで何時間走っても果てしなく草原が続くばかり、そしていつでも３６０度の地平線。ああとうとう私は来たのだ。
これで満足。楽しみにしていた夜の星も、ああこんなにも自然は美しいと感動。大きく横たわる天の川、北斗七星もくっきりと見えた。
二日目は夕方から雲が出て、今夜は星は見られないかなあと思っていたところ、すっかり日が落ちた頃に北西の方角から次第に晴れてきて少し星が見えてきた。やがて雲が流れて行くにつれ、だんだんと星が増えていく。昨日はふと気づいたときは空一面の星だったが、今日は見ているうちにひとつまたひとつと次々に出てくる。さながら天体のショーを見ているよう。
地平線と星空、私の憧れていたものを二つながら充分に満足させてくれたモンゴルの旅は最高だった。
また、サランさんのご家族を挙げての誠心誠意の歓迎を受けて、日本人の失いかけている大切なものを見直す旅であった。そしてこの大いなる自然の前には私たち人間の何とちつぽけな存在であることか、果てしない欲望、醜い争い、反省すべき事は多々ある。欲を言えば、大草原の草丈がもつと高く風になびく姿が見たかったけど、踏むとカリカリと音がするように枯れた草が多かったのは、便利さを求めすぎた私たちに責任があるのかもしれない。こんなことを考える旅でもあつた。
思い出に残る今年の夏、サランさんに出会えた夏。みなさんありがとうございました。
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